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フォーカシングの手引き  The Focusing Manual

 

いよいよみなさんがフォーカシングを学ぶときがきました。

フォーカシングの内わけは6幕または6段の動きになっています。練習を重ねればこれらをその道程の6つの独立した部分と考える必要はなくなります。別々の動きと考えると、道程が実際よりずっと機械的なもののように見えます ――あるいは、あとになってそういうふうに感じられるようになるかもしれません。流れをこのように分解したのは、フォーカシングをまだ一度も試みたことのない人たちに教えるのに有効だということが、長年の経験でわかったからです。

この章は、基礎的な手引きにすぎないと思ってください。先に進むに従って、これらの基礎的な教示に、他の角度から違うことを付加したり、説明をつけたりしてみます。いずれは――初めからではなく、いずれは――内面で何かがシフトする〔shift―移り動く〕という新しい体験をするでしょう。まず、フォーカシングの教示を短い手引きの形で提示してみます。次章で、6段の動きについてこまかな説明を加えながら、さらに詳しく検討してみます。

フォー力シングの手引き

1. 空間をつくる

自分自身にたち戻って静かにし、しばらく楽にしてください……結構です……そこで、自分の内部、内面の方に注意を向けてください。おなかとか胸のあたりです。「自分の生活はどうなっているのだろう?今自分にとって大きなことは何だろう?」と自分に尋ねたらそこに何が出てくるか見てください。からだで感じてみてください。その感じのなかからゆっくり答を出させてください。何か気になることが出てきたら、そのなかに入り込まないようにしてください。自分とそれとの聞に少し空間をつくってください。そこで他に何が感じられるか尋ねてください。少し待って、感じてください。いくつかのことがあるのが普通です。

2.フェルトセンス

出てきたもののなかから、個人的に気になっていて焦点をあててみたいことをひとつ選んでください。そのなかに入って行ってはいけません。少し離れて立ってみましょう。

勿論、あなたの心に思っているそのひとつのものには、幾つかの部分があるでしょう――、ひとつひとつ取り上げて見られないほどたくさんあるかもしれませんね。でも、それらの全部をひとまとめにして感じてみることができるでしょう。普段ものごとを感じるあたりに注意を向けてください。そうすれば、そこにその気がかりなことの全部に対する自分の気持がどんなものか、その感じが見つかるでしょう。その全部を自分に感じさせてみてください。

3.取っ手〈ハンドル〉

このはっきりしないフェルトセンスは質的にどんなものでしょうか。ある言葉、いいまわし、あるいはイメージをフェルトセンス自体から出てこさせてください。きつい、ねばっこい、こわい、行き詰まった、重い、バタバタしている、というような質の言葉かもしれませんし、いいまわしまたはイメージかもしれません。何かがピッタリ合うまでフェルトセンスの特質のところにとどまってください。

4.共鳴させる

フェルトセンスと言葉。(いいまわしまたはイメージ)の間を行ったり来たりしてください。両方がどんなふうに共鳴するかつき合わせてください。ピッタリ合っていることを教えるからだからの信号が少しはあるかどうか見てください。そのためには、もう一度フェルトセンスと言葉を浮かべてみなければなりません。

 フェルトセンスが変わるなら変わってかまいません。言葉や絵についてもフェルトセンスの特質をつかまえたと感じるまで変わるにまかせてください。

5.尋ねる

次にその特質(今その名前をいうかあるいはそれを描いてみた)をつくっているものは何か、と尋ねてください。その特質が確かにもう一度、新鮮に、はっきり、感じられるようにしてください(単なる以前からの記憶によるということではなく)。もう一度浮かび上がってきたら、そっとたたき、軽く触れ、接触し、いっしょにいるようにして、「何がその問題の全体をそんなに……にするのか?」と尋ねてください。あるいは「この感じのなかに何があるのか?」と尋ねます。もしフェルトセンスのなかのシフトなしに手早な答が得られたら、その種の答はやり過ごしてください。注意を自分のからだに戻し、もう一度新たにフェルトセンスを見つめましょう。

かすかな「動き」かゆるみのようなシフトを伴って何かが出てくるフェルトセンスのところにとどまっていましょう。

6.受け取る

親しげなかたちのシフトを伴って出てきたものを受け取ってください。しばらくはそれといっしょにいましょう。それがほんのちょっとのほぐれであったとしても。何が出てきたにしても、それはただひとつのシフトです。あとがまだあります。しばらくすればまた先をつづけるでしょうが、少しの間そこにとどまってください。

ここまでの教示に従っている間に、取り上げている問題について、はっきりしないからだ全体の感覚が感じられ、しばらくそれに触れているということが起こったら、そのときにあなたはフォーカシングができたのです。からだにシフトがきたかどうかは気にしないで結構です。それは自然にやってきます。自分でそれを統御(コントロール)するのではないのです。